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育て方は悪くない

「育て方が悪かった」なんて言いますね。大嫌いな言葉です。これではまるで子供が「失敗作」みたいです。子供が作品のように感じられる表現も親の所有物みたいですし、第一、何をもって失敗だの成功だの言うのでしょうか?

社会の通例、多くの人が辿っている道を行けば「普通」であり、それから逸れると「変わっている」とか「おかしい」とされる。犯罪を犯しているわけでもないのに失敗だの悪い育ちだの言われたらたまりません。高校→大学→企業(なるべく大きな)→結婚 が幸せとされ、そのルートを外れると「不幸」。 日本社会ではこんな見方が根強いのには驚きます。

子供は予想外に育ちます。けっして思ったようには育ちません。子供の命は子供のもので、親とは別。思ったとおりになんかなるはずがありません。子供には子供の人生がある。

「幸せ」だって形はいろいろ。親の思う幸せがそのまま子供の幸せとは限らない。この、至極当たり前の事になかなか気付かない。あるいは知っていても見ないようにしている。

それもこれも愛情故なのが哀しいところです。

一生懸命愛して世話をやいて来たのにこんなはずじゃなかった、と感じた時は親が自身を見直すチャンスかもしれません。

「育て方が悪かった」のもう一つの良くない面は親が自責の念に駆られることです。

思い通りに育たなくて当たり前なのに、子供の姿が思い描いた通り(あるいは世間の目に叶う姿)ではないことで自分を責める。そんな必要はありません。どうぞ自分を責めないで。親だって未完成な人間です。

大事なのは、これからどう歩んでゆくか。不完全なままでいい、欠点だらけでいい、

かかえたまま、新しい家族の構築をして行けばいいのです。