自立には3つの軸がある?

自立と言われているものにはもちろん経済的な自立もあるのですが、身体的自立・精神的自立があります。

身体的自立とは?

特に強調したいのは生活スキルです。

例えば、ひとりで住むことになったらゴミ出しがうまくいかないとご近所さんに叱られないかもしれないですね。食事がある程度作れたり、残りものの処理も気を付けないと冷蔵庫のなかがカビだらけになってしまうこともあります。

できれば、一緒に暮らしてる間にやりながら学んでいけるとよいですね。
失敗も成功のうち。小さな失敗をできるうちにしておくのが大切です。

そして気を付けたいのは体のメンテナンスのこと。

自分がどういう人なのかわかっておくことが大切。

遠出すると体の調子が悪くなりやすいとか、自分はそういう人なんだと理解できているかどうか。次の日は無理しないようなスケジュールにしようとか、逆に忙しいときは遠出せずに近場で済ませようとか、メンテナンスのひとつかと思います。

自分の体と相談できるようになるのも立派な自立のひとつです。

精神的自立とは?

これもいろいろな精神がありますが、勘違いされるのは根性とか頑張るとかそういう印象があります。私たちがいうのはそうではなくて、社会のなかで関わっていくための自立です。

わかりやすいのは、ひとりの成人として扱われる慣れてもらうこと。子どものころから「~~ちゃん」って呼んできたからといってずっとそうしていると、社会との温度差があります。

私たちがおすすめしているのは「~~さん」という呼び方です。会社でもそうですよね。最初は違和感があるかもしれませんが、子どもとしても変化に気づきやすいし、親としての意識も変わっていきます。一緒に丁寧な表現に変えてみたりすると、大人扱いが強調されますね。

そして、もうひとつは周りを頼れる、SOSを出せるということです。

必ずしも全部を言い合えるようになることではありません。ひとりを楽しめる人もいますし、そういう時間も大切です。子どももすべてを親に打ち明けることはありません。だけど、困ったときや悩んだときに誰かに言えるような精神面のことを言います。

相談はいきなりすることはありません。日々の人間関係が大切で、朝の挨拶やありがとう、ごめんなさいと普段から言い合えることが最初のステップです。社会人でもそうした小さいことからやっておかないと上司に声掛けするのがしんどくなったりします。家庭のなかでできるレベルから練習しましょう。

経済的自立とは?

心配のお声が多いのは親なきあと、ひとりで生きていくことができるのか?ということです。

これは、まずはしっかり伝えることから始めましょう。

「もうお父さんが定年退職だから、お給料変わるからね」とか「冷蔵庫にたくさん食べ物が入っているのは、旅行ひとつしないからこういうところにお金をかけられているんだよ」とか、言わなくてもわかっていると思いがちですが社会経験が少ない場合は特に、そうしたことが伝わっていないことも良くあります。

知らないことは他にもあります。年金のことなんかも知らない方がいます。
あるご家族は、一緒に年金事務所に行き、父がずっと子どもの年金を支払いしていたことを伝えました。「親父そんなことしててくれたんだ」とそこで初めて気づいて、少し感謝していたという話も聞きました。親がやっていることを見せるのもすごく大切なことだと考えています。

最後は家事を任せてみる。私たちは家庭内の社会化という言葉も使いますが、スケジュールをたて、週1回だけでも夕食を任せるとか、いきなりは難しそうならお米を研いで炊いてもらうだけでも、やってもらうのはいかがでしょう。

大切なのは決められたスケジュールを最初から最後までまかせることです。
家庭内に役割をつくれば、それができると、こちらから褒めたり、お礼を伝えたりできますよね。

「助かったよ」とほめることによって承認欲求が満たされ、達成感が高まります。ぜひ家庭内の社会化を試してみてください。

自立のために重要なこと

最後にお伝えしたいのは、コミュニケーションの大切さです。
なにかを任せたり、交渉は折り合いをつけることでもあります。

例えば、家事をお願いするときは「交渉の余地あり」と伝えておきます。

朝起きた時体調が悪くて、今日は作りたくないな、今日風呂掃除したくないなというとき、ちゃんとSOSが出せるか、代わってほしいと伝えられるようにするには「交渉できる」とわかっていないといけません。

今日は無理だからごめんって言える関係性を作るきっかけになれば、交渉力は育まれます。

社会に出てから、自分が無理だと思ったときに、交渉していいんだ、SOS出していいんだ、頼っていいんだって選択肢があれば、上司や同僚に「すいません、ここまではできるんですけど、今日のこの時間までに仕上げるんであれば手伝っていただけますか。」と交渉できる人になる。

家庭のなかが失敗OKの関係性になっていれば、その子が自信を持てるようになり何か違うことをできるようになるっていうことになりますよね。家族のありかた次第で、アプローチが変わる部分もありますが、そうしたことは結と一緒に考えられるとよいなと思います。

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