みゆきさん 女性 55歳
<当時の家族構成>
・父(離婚・別居)
・母
・長男(20代)
・長女(20代・一人暮らし)
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▼当時のご家族の状況を教えてください
子どもが幼い頃に離婚し、シングルマザーとして子どもたちを育ててきました。
長女は就職して家を出ており、20代前半の長男と2人暮らしでした。
ちょうどその頃、実母が他界したばかりで、精神的にも行き詰まりを感じていました。
▼どんな困りごとがありましたか?
長男はもともと無口な性格でしたが、友人も多く、小学生の頃はよく話してくれる、かわいらしい子でした。
転機となったのは高校受験です。志望校に合格できず、その後は行き渋るようになりましたが、なんとか通い続けていました。
その後、自ら志望して進んだ専門学校では、最初の1年間はとても楽しそうに通っていました。しかし2年生頃から通学が難しくなり、バイトによる帰宅の遅れで遅刻も増加。その影響で、次第に足が遠のき、最終的には中退しました。
この頃から、息子はほとんど私と話をしてくれなくなりました。
家にいないことも増え、声をかけても返事がない。どう接していいのかわからず、途方に暮れていました。
その後、就職しましたが短期間で辞めることが2回続き、やがて働かずに家にいる状態になりました。
「その仕事は合っていないのでは」と声をかけても、「うるさい」と返されてしまい、まったく会話が成立しませんでした。なぜこうなってしまったのか理由も分からず、ただ不安だけが募っていきました。
▼「結」を知ったきっかけは?
妹が紹介してくれました。
それまでも似たような相談機関をいくつか探しましたが、「本人が来ないと支援できない」と言われることが多く、相談にたどり着くこと自体が難しいと感じていました。
「結」は“本人を連れてくる場所”ではなく、“親が相談できる場所”であり、ハードルが低い点が良かったです。
当時はできることは一通りやっていました。
専門学校のスクールカウンセラーにも相談し、元夫にも話し、それでも状況は変わらない。
何か糸口がほしい――そんな思いで、藁にもすがる気持ちで参加しました。
結果的に、少しずつ状況がほぐれていきました。
▼「結」を継続することに決めた理由は?
体験でグループワークに参加したことが大きかったです。
色々な方のお話を聴く中で、「一人で悩みを抱えるのはつまらないな」と思いました。
費用面にも納得したため、「これで自分の気持ちが軽くなるなら」と思い継続に至りました。
▼続ける中で、どんな変化がありましたか?
一番大きかったのは、私自身の考え方の変化です。
「息子だけが自分の人生ではない」ということを、結が思い出させてくれました。
息子と二人きりの生活は、家の中が重苦しい空気になりがちでした。
そんな中で、「お母さんも笑いましょう」と声をかけてもらったり、「結」の5つの約束※を教えてもらったり、グループワークで他の保護者の話を聞いたりするうちに、少しずつ「そんなに構えなくてもいいのかもしれない」と思えるようになりました。
※〈結の5つの約束〉
・話を遮らずに聴く
・関心を持って聴く
・パスあり
・秘密を守る
・思い込みで決めつけず、確認する、尋ねる
以前の私なら、「やらなければだめ」「どうしてできないの」といった、息子がさらに殻に閉じこもるような言葉を発していたと思います。
とはいえ、言いたい気持ちを抑えるのは簡単ではないので、面談やグループワークの場で吐露することでバランスを取っていました。
どんなに話しかけても返事がないときでも、「今は“パス”なんだ」と受け止められるようになったことで、気持ちに余裕が生まれました。
また、息子の退職理由についても、それまでは「朝起きられないから続かなかったのでは」と一方的に彼の怠惰のせいだと決めつけていましたが、
面談で、「仕事が合っていなかったのかも」「人間関係の影響もあるのでは」と言われたことで、見方が変わりました。
数年経っても状況はすぐには変わりませんでしたが、グループワークでは長期間向き合っているご家庭とも接し、「長い目で見よう」と思えるようになりました。
もし働くことが難しいとしても、それに備えた準備ができるのではないか、と考えられるようにもなりました。
他のご家庭を参考に、メモでコミュニケーションする方法も取り入れました。
返事がなくても見てはいるだろうと思い、事務的なことから自分の気持ちまで、さまざまなことを書き続けました。○×で答えられる質問にするなど、小さな工夫も重ねてきました。
こうした積み重ねは、面談やグループワークがあったからこそ続けられたものだと思います。もしそれがなければ、感情的に怒ってしまうだけだったと思います。
▼息子さんにはどんな変化がありましたか?
相変わらず私に対しては無口なのですが、
「きちんと話したい」と伝えたときには、しっかり耳を傾けてくれるようになりました。
「家で話さないのは彼のスタイルなのだ」とそのままの息子を受け止めるようになってからは、旅行のお土産を買ってきてくれるなど、行動面での変化も見られるようになりました。
また、以前は無断でお金を持ち出すこともあり、困っていました。
しかし、結の面談で「生きる糧になるものや気分転換は絶対に必要なので、活動費としてお金を渡した方が良い」と助言を受けました。「活動費」として必要な金額をきちんと渡すようになったことで、状況は改善していきました。
就職が決まった際に、「もう活動費はいらない」と本人から言ってくれたときは、とても嬉しかったです。
▼現在の状況は?
「結」には約6年間通い、現在は卒業しています。
息子とは必要なことはきちんと話せる関係になりました。
現在は自宅近くの職場で働いています。
まだ「働き続けること」には課題があるかもしれませんが、
その都度、自分で次の仕事を見つけてくる姿を見て、
少しずつ自分に合った場所を見つける力が育っているのだと感じています。不安感はもうありません。
「結」で学んだことは、今では特別に思い出さなくても自然とできるようになりました。
返事がないときには、「今はパスなんだな」と受け止めています。
結では自分の気持ちに共感してもらえたことが本当に大きな支えでした。
そのおかげで、息子に対して穏やかに向き合えました。
「結」に出会えて本当によかったです。
そして、同じように悩んでいる方に伝えたいのは――
どんなときでも、日は必ず昇るということです。